【翻字】
世中の あつかひ草を 露ほども しらざる人は せうし なりけり

あつかひ草といへる は世話にふせうなる 事といへるがごとし此 世にまじはるうちは あつかひ草をしらずん ばかなふべからずおのが 身には露ほどもかまふ 事なきとてかしこ だてをいふものゝふせう をおもひしらぬ人に たちまちにわざはひ のくる事はくちびる おちてはさむくなり となりのいさかひ我 耳にかしましきが ごとし又人の上にあし き事あらばいそぎ 其事をとりあつ
かふべし
かふべし
【通釈】
世の中で、人の世話をすることを少しも知らない人は、困ったものだし気の毒だ。
「あつかひ草」(云々)というのは、人の面倒を見るのが下手であると言っているようだ。この世で人と交わ(って生きてい)る間は、人の世話の仕方を知らないでは(うまく交際して)生きていけない。自分自身には少しも困る事はないといって、利口ぶった事を言う者で、(自分が)未熟である事をわきまえない人に、災難が降りかかる事は、(諺に言う、)唇滅んで歯寒し、隣の喧嘩が耳にうるさいようなもの(で、必然)である。又、人の身の上に悪い事が起こったなら、急いでそれに対処すべきである。
【語釈】
・あつかひぐさ…世話をする対象。養育すべき子供など。
・笑止…困ったこと。かわいそうなこと。笑うべきこと。
・世話…人の面倒をみること。
・ふせう…愚かなこと。劣っていること。不肖。
・かまう…他の事とかかわって、差し支えが生じる。
・かしこだて…利口ぶること。賢そうにふるまうこと。
・笑止…困ったこと。かわいそうなこと。笑うべきこと。
・世話…人の面倒をみること。
・ふせう…愚かなこと。劣っていること。不肖。
・かまう…他の事とかかわって、差し支えが生じる。
・かしこだて…利口ぶること。賢そうにふるまうこと。
【解説】
第五首目は「人を世話すること」の重要性について詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、右手に地に片膝をついている女性を、左手には片肌を脱ぎ、箒を持って目を吊り上げている男性と、その男性の後ろから制止するように左手で抱え込むように胸を抑え、右手で男性の持つ箒をつかんでいる男性を描いています。夫婦喧嘩とその仲裁に誰かが入った場面を描いているようです。
