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【翻字】
鉄眼(てつげん)和尚
釈迦阿弥陀(しやかあみだ) 地蔵(ぢぞう) 薬師(やくし)と 名(な)はあれど 同(おな)じ心(こゝろ)の 仏(ほとけ)也けり
〇師名は道光(だうくはう)号は鉄眼初め一 向宗(こうしう)の僧(そう)たりしが妻(つま)をすて 寺(てら)をのがれて黄檗(わうばく)に登(のぼ)り木(もく) 菴和尚を師として直指(ぢきし)の旨(むね)を 学(まな)び遂(つい)に其法(そのはふ)を嗣(つい)で津国難(つのくになん) 波(ば)に瑞龍(ずいりやう)寺を開創(かいさう)す且(かつ)て 有縁無縁(うゑんむゑん)の信者(しんじや)を勧進(くわんじん)し 募(つのり)て一切蔵経を彫刻(てうこく)せんとす 時に凶年あつて世人大に困(くるし)む師 これをあはれみ集(あつま)る処の財宝(ざいほう) を散(さん)じて窮民(きうみん)を救(すく)ふ如此なる 事二度に及(およ)び遂(つい)に三たびめの 勧進(くはんじん)に願心成就(ぐはんしんじやうじゆ)して一切経(きやう)を 彫刻(てうこく)せられぬ其功実(そのこうじつ)に千載不(せんざい) 朽(きう)といふべし

【校訂本文】
 鉄眼和尚
 釈迦阿弥陀 地蔵薬師と 名はあれど 同じ心の 仏なりけり
 〇師、名は道光、号は鉄眼。
 初め、一向宗の僧たりしが、妻を捨て、寺を逃れて、黄檗に登り、木菴和尚を師として、直指の旨を学び、遂にその法を嗣いで、津国・難波に瑞龍寺を開創す。
 かつて、有縁無縁の信者を勧進し、募りて、一切蔵経を彫刻せんとす。時に、凶年有つて、世人、大いに困しむ。師、これを憐れみ、集まる処の財宝を散じて、窮民を救ふ。かくのごとくなる事、二度に及び、遂に三度目の勧進に、願心成就して、一切経を彫刻せられぬ。その功、実に千載不朽といふべし。

【語釈】
一向宗:浄土真宗
黄檗:当時、日本黄檗宗の開祖・隠元隆琦がいた長崎・崇福寺を指す
木菴:木庵性瑫。明から渡来した臨済宗黄檗派(黄檗宗)の僧。
直指の旨:禅宗
瑞龍寺:現大阪市浪速区の黄檗宗の寺院
有縁無縁:仏の教えを聞いて仏教と縁のある人と、逆に教えを 聞くこともなく仏教と縁のない人。すべての人。
勧進:人々に仏の道を説いて勧め、善導すること。堂塔・仏像などの建立・修理のため、人々に勧めて寄付を募ること。
一切蔵経:仏教聖典の叢書
彫刻:板木に文字・絵を彫ること。出版すること。

【解説】
 38人目は鉄眼道光です。紹介文にはその略歴、特に、大蔵経出版と窮民救済を紹介しています。
 歌は、異なった名を持つ諸仏も、その心は同じだと詠んでいます。