三重県総説

[位置]我三重県は日本帝国の東南岸の中央部にありて、東海道の西の端(はし)より南海道の東の端(はし)に跨(またが)る。

[境界]
 北 愛知県{尾張国} 岐阜県{美濃国}
 西 滋賀県{近江国} 京都府{山城国} 奈良県{大和国} 和歌山県{紀伊国}
 南 大洋
 東 内海を隔てて愛知県{尾張・三河}に対す。

[面積] {一里四方を一方里といふ。}
  伊勢国 二百二拾三方里
  伊賀国   四拾四方里
  志摩国   二拾四方里
  牟婁郡   六拾二方里{牟婁の面積は確算せしものなく、毎年の統計皆同じからず。今仮りに本年の調査に拠る。}
  其の大さを比すれば左の如し。

挿絵065

  故に三重県の総面積は三百五十三方里なり。

[山脈]主山脈は北端より起り西南に走り伊賀を抱き、尚西南に進みて牟婁に入る{此の山脈は県の西境となる}。其の一派、伊勢・紀伊の境より海岸に迫りて東に趣き、内海の口に至りて尽く。
  {主山脈の右側海岸に伊勢の低地あり。左麓漸く降りて伊賀の平地となる。}

[水脈]伊勢の西境に沿ひて牟婁に亘れる主山脈、最も高きが故に、川流は皆其左右の斜面を流る。故に、主山脈以東は東流し、以西は西流す。

挿絵071R

[土地]県内面積の三分の二は山地なれども、内海岸及び川流の近傍に低平の地ありて、土質概して良好なり。  
  田畝 伊勢国 七万四千町
     伊賀国 一万四千町
     牟婁郡   五千町
     志摩国   三千町
  山林 全県  二十六万町
  原野 全県    五千町

[気候]概して寒暖中和を得。然れども海浜は内地より暖く、外海岸は内海岸より暖し。
  {牟婁・志摩は甚だ温暖にして、伊賀及び伊勢の北部は之に比すれば頗る寒冷なり。}
 時々海面より吹き来る湿風(しつぷう)、山巓の寒気に触れて雨となるが故に、県内大抵雨量多しとす。

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