[区画]山川の配置によりて郡の区画をなす。
伊勢国{桑名・員弁・朝明・三重・鈴鹿・河曲・奄芸・安濃・一志・飯高・飯野・多気・度会 十三郡}
伊賀国{阿拝・山田・伊賀・名張 四郡}
志摩国{答志・英虞 二郡}
紀伊国牟婁{北牟婁・南牟婁 二郡}
故に三重県には四国二十一郡あり。
{此中、最も小なるは河曲郡(二方里七分)にして、一志及び南牟婁は之二十三倍し、度会は十八倍す。}
{度会郡は伊賀全国よりも大にして、志摩の二倍余なり。}
[人口の稠度]
伊勢国 六拾八万人 (一町四方の人口)二.四人
伊賀国 拾万四千人 同 一.八人
牟婁郡 七万人 同 .九人
志摩国 五万五千人 同 一.八人
故に三重県の人口は九拾一万余人にして、其の戸数は拾七万九千余なり。
[都邑]都邑は海岸若くは川流の近傍にありて、其の港に臨むもの尤も繁昌す。人口壱万以上の都邑は津市・宇治山田町・桑名町・四日市町・上野町・松坂町の六個にして、此中、左の一市二町を県内の三大都邑とす。
津市 政治及び文学の都邑
四日市町 商業及び製造の都邑
宇治山田町 遊覧の都邑
[港] 内海岸は外洋の岸よりも屈曲少なくして水浅しと雖も、陸上の交通便利にして、且物産多きが故に、港繁昌す。四日市港・桑名港・鳥羽港は洋船碇泊所なり。
{贄崎・大口・神社・大港・的矢・尾鷲・長島・引本・二木島・木ノ本の諸港は洋船寄港所なり。}
輸出入の多額なるは四日市港を第一とし、桑名港・贄崎港之に次ぎ、大口・木ノ本・鳥羽の諸港、又之に次ぐ。
[鉄道]
[電線] 鳥羽より伊勢街道に沿ひ津に至り分れて、一は四日市を経て桑名に趣き、一は関に至る。関にて又分れ、一は東海道線に接して滋賀県に入り、一は伊賀国上野に至る。上野名張間、電話器の設けあり。
[水路]重もなる航路は左の如し。
[道路] {県内通過里程}
東海道 滋賀県境より鈴鹿を踰へ四日市・桑名を経て愛知県に出づ。{拾五里}
伊勢街道 三重郡追分より東海道に分れて宇治山田町に達す。{拾八里}
同別路 関町より東海道に分れて津市にて本街道に合す。{五里}
伊賀越街道 関町より加太を踰へ伊賀に入り上野町を経て京都府に出づ。{拾里}
伊賀街道 津市より長野峠を経て上野町に達す。{拾二里}
初瀬街道 一志郡にて伊勢街道に離れ阿保を越へ名張を経て奈良県に出づ。{拾四里}
和歌山街道 松坂町より高見嶺を踰へて奈良県に出づ。{拾六里}
熊野街道 宇治山田町より牟婁を経て和歌山県に出づ。{三拾九里}
鳥羽街道 宇治山田町より志摩鳥羽町に達す。{四里}
[鉄道]
関西鉄道 滋賀県甲賀郡五反田村より来り、本県阿拝郡東柘植村に至り加太を経て関に至り東海道に沿ひて河曲郡一ノ宮村より北折して四日市に至る。其の一派、亀山より分岐して津に達す。
参宮鉄道 津より伊勢街道に沿ひて宮川に達す。
[電線] 鳥羽より伊勢街道に沿ひ津に至り分れて、一は四日市を経て桑名に趣き、一は関に至る。関にて又分れ、一は東海道線に接して滋賀県に入り、一は伊賀国上野に至る。上野名張間、電話器の設けあり。
[水路]重もなる航路は左の如し。

コメント