第二課 地球及び地図

【地球の形状】吾人は常に地球上の一部分のみを見るを以て地球表面は平面の如く思へども、其の実は球形にして甚だ大なるものなり。即ち其の周囲は一万零百七十八里にして、其の直経は三千二百七十里あり。
[地理学に三種あり。自然地理・星学地理・邦制地理、是なり。今此別を立てず。]
【球形なるの証】今海岸に出でて船舶の出帆するを見るべし。始めは船の全体を見れども、その進行するに従ひ次第に其の船体を見失ひ、遂には其の檣頭のみを見るに至る。是、海水の表面平かならずして、其の彎凸の為めに船体を遮るを以てなり。然れども今丘陵に上り望遠鏡を以て之を眺望するときは、図の如く彎曲の為めに妨げられず、故に明に其の船体を見るを得べし。是れ地球の円き証なり。又月食のとき月面に円影を現はすは、是地球の影の映ずるものなり。是を以て地球の球形なること明なり。故に之を地球と言ふ。
[或港を出帆して、終始其の方向を変ぜずして西あるいは東に航すべし。然るときは必ず其の反対の方向より出帆の地に帰るべし。是又地球の円体なることを証すべし。]

挿絵010

【方位】太陽の出づる方を東と言ひ、其の入る方を西と言ふ。吾人今直立して右手を以て左を指し、左手を以て西を指すときは、其の前面の方を北と言ひ、背後の方を南と言ふ。此の四方を地球の方位と言ふ。又、東と北との間を東北或は北東とも言ひ、西と南との間を西南或は南西と言ふ。其の他皆此の類なり。
[東西南北を主位と言ひ、其他を間位と言ふ。]
【自転】太陽は日々東より出て西に入るを見るべし。是地球が日々西より東に回旋するを以てなり。而して其の太陽に向ふ間は昼にして、太陽に背ける間は夜なり。故に地球の一面昼なるときは他の一面は夜なり。此の旋回を地球の自転と云ふ。自転の心軸となるべき南北の直径を【地軸】と言ひ、軸の北端を【北極】と言ひ、其の南端を【南極】と言ふ。

挿絵011

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