(三)【桑名】桑名は桑名郡の南端にありて、旧名を三崎と言ふ。桑名港に臨めり。旧と久松氏の城下にして、東海道の駅邑に属す。天正年間滝川一益の居城なりしが、後屡々変更ありて、関ヶ原の役後本多氏の封地となり、復び久松氏に帰す。人口一万四千九百。病院・郡役所{県庁を距る十二里。桑名全郡を管轄す}・郵便電信局等ありて、繁華の都邑なり。富商少からず。

挿絵047R

(四)【四日市】四日市は三重郡にありて四日市港に臨み、且つ東海道の駅路なるを以て、海陸の運輸共に便なり。故に四方の商賈輻湊し、貿易殊に盛なり。人口七千九百。郡役所{県庁を距る八里余。三重・朝明の二郡を管す}・郵便電信局・裁判所等あり。此の港は横浜港と日々汽船の往復あるを以て、市街最も繁華なり。海面を一に那古浦と言ふ。春夏の候時々海市の現出することありて、其の観甚だ奇なりと言ふ。

挿絵047L

[四日市港の如きは実に県内の要港と謂ふべし。其の位置たるや、東西両京の間に挟まり、愛知・滋賀・岐阜等の隣県に接し、北に越前敦賀の鉄道ありて北陸に通じ、物貨輻湊、海陸運輸の便なること実に比なし。]

挿絵048R

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