【翻字】
沢水(たくすい)禅師
何事(なにごと)も いふべき ことは なかりけり 問(とは)で答(こたふ)る 松(まつ)かぜの音(おと)
〇師名は長茂号は沢水中 峯(ぼう)和尚十三世の法孫亀菴(はふそんきあん) 珠光(しゆくはう)禅師に見へ酬答相(しうたうあい) 契(かな)ふて印記をうく江府(こうふ)の 大住寺に住して大に僧俗(そうぞく)を 化度(けど)す元文の末微疾(びしつ)を示(しめ)し て端然(たんぜん)と滅(めつ)をとる其寿 百六十余才也と云々
【校訂本文】
沢水禅師
何事も 言ふべきことは なかりけり 問はで答ふる 松風の音
〇師、名は長茂、号は沢水。中峯和尚十三世の法孫・亀菴珠光禅師に見へ、酬答、相契ふて、印記を受く。江府の大住寺に住して、大いに僧俗を化度す。元文の末、微疾を示して、端然と滅をとる。その寿、百六十余才なり、と、云々。
【語釈】
中峯:中峰明本。元代の禅僧。
法孫:仏教の門流であること
亀菴珠光:不詳。越後国蒲原郡の禅僧か。
印記:ここでは、禅宗で師僧が弟子に法を授けて悟りを得たことを証明・認可する印可状を書くこと
江府:江戸
大住寺:不詳。宝暦13年(1763年)刊『沢水仮名法語』跋文に「本所御仮橋横川通亀戸町 大住庵蔵版」とあり、現江東区にあった寺院か。
元文:1736年~1741年
【解説】
39人目は沢水長茂です。紹介文には略歴がありますが、内容も年齢も謎めいていて、詳細不明です。
歌も茫漠としています。「言うべきことは何もない。風に鳴る松に耳を傾けよ(自然に向き合って真理を悟れ)」との意を詠んだものでしょうか。

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