【翻字】
売茶翁(まいさおう)
売茶翁(まいさおう)
笛(ふへ)ふかず 太鼓(たいこ) たゝかず 獅子舞(しゝまひ)の 跡(あと)あしになる 胸(むね)のやすさよ
〇翁名は元昭(げんせう)号は月海(げつかい)竜津(りやうしん) 和尚を師(し)として出家(しゆつけ)す壮(そう)なる に及び偏(あまね)く耆碩(ぎせき)の門に遊びまた 山上に精苦(せいく)して道(みち)をはげむ后(のち) 僧伽(そうか)の徳にほこりて人の信施(しんせ)を 費(ついや)す事を恐(おそ)れ寺を逃(のが)れて洛(らく) に入高(かう)を姓(せい)とし遊外(ゆうぐはい)を名とし茶 を売(うつ)て生(せい)を送(おく)る或は東福(とうふく)の紅葉(もみぢ) 方広(だいぶつ)の杜若(かきつばた)至る処清泉(せいせん)を煮(に) て風流を尽(つく)す幾程(いくほど)なく売茶 翁の名海内(かいだい)にかまびすし晩年携(ばんねんたずさふ) 所の茶具(ちやぐ)に引導(ゐんだう)をあたへ之(これ)を焼(やき) 捨(すて)て岡嵜に閉居(へいきよ)す宝暦十三年 七月十六日方広の南なる幻々菴 にて卒(そつ)す寿八十九
売茶翁
笛吹かず 太鼓叩かず 獅子舞の 後足になる 胸の安さよ
〇翁、名は元昭、号は月海。竜津和尚を師として、出家す。壮なるに及び、遍く耆碩の門に遊び、また、山上に精苦して、道を励む。後、僧伽の徳に誇りて、人の信施を費す事を恐れ、寺を逃れて、洛に入り、高を姓とし、遊外を名とし、茶を売つて、生を送る。或いは、東福の紅葉、方広の杜若、至る処、清泉を煮て、風流を尽くす。幾程なく、売茶翁の名、海内に喧し。晩年、携ふ所の茶具に、引導を与へ、之を焼き捨てて、岡崎に閉居す。宝暦十三年七月十六日、方広の南なる、幻々菴にて、卒す。寿、八十九。
【語釈】
竜津和尚:佐賀県の黄檗宗の寺院・龍津寺の開山・化霖道龍
耆碩:学問があって徳望の高い老人
僧伽:仏道修行をする僧の集団
信施:信者が仏・法・僧の三宝にささげる布施
洛:京
東福:東福寺。京都市東山区の臨済宗の寺院。京都五山の一。
方広寺:京都市東山区の天台宗の寺院。現在は焼失しているが、大仏が何度も作られ、「大仏」と通称される。
海内:四海の内。国内。
引導:死者に対して僧侶が法語を称えて涅槃の世界に行くように導くこと
岡崎:現京都市左京区南部の岡崎地区
宝暦十三年:1763年
耆碩:学問があって徳望の高い老人
僧伽:仏道修行をする僧の集団
信施:信者が仏・法・僧の三宝にささげる布施
洛:京
東福:東福寺。京都市東山区の臨済宗の寺院。京都五山の一。
方広寺:京都市東山区の天台宗の寺院。現在は焼失しているが、大仏が何度も作られ、「大仏」と通称される。
海内:四海の内。国内。
引導:死者に対して僧侶が法語を称えて涅槃の世界に行くように導くこと
岡崎:現京都市左京区南部の岡崎地区
宝暦十三年:1763年
【解説】
44人目は売茶翁・月海元昭です。紹介文はその略歴です。
歌意は平易ですが、禅・仏教との関わり・含意は不明です。

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