解題
聟入りすとて、聟、舅の許に行きて鶏の様子をなし、舅、亦之に倣ふ。
鶏聟(にはとりむこ)
▲しうと「これはこのところの大名。けふは聟入がある。太郎冠者あるか。
▲冠者「お前に。
▲しうと「今日は聟殿のおいでぢやほどに、お出の時分、此方(このはう)へ申せ。えい。
▲冠者「はあ。
▲むこ「これは花聟でござる。今日聟入致さうと存ずる。舅はこれでござる。ものも。
▲冠者「や、たそ。どなたでござる。
▲むこ「むこです。
▲冠者「はあ。これへお通りなされませ。
▲むこ「心得た。
《うたひ》聟は舅のうちに行き、聟は舅のうちに行き、お座敷までは、歴々なりとて、かゝりのもとにぞ立つたりけり{*1}。くわつくわつくわつ。
《うたひ》舅はこれを見るよりも、広縁より飛んで下(お)り、羽(は)だたきしてぞ立つたりけり。
▲冠者「申し、何事でござりますぞ。
▲しうと「やい、総じて聟の恥は舅の恥、舅の恥は聟の恥、構へて笑ふな。
▲冠者「はあ。
《また前のとほり、には鳥の蹴合ふまねする。》
こくわつここくわつここくわつここくわつこ。やるまいぞやるまいぞ。心得た心得た。{*1}
底本:『狂言記 下』「狂言記外編 巻の二 八 鶏聟」
底本頭注
1:かゝり――蹴鞠の庭。
校訂者注
1:底本は簡略に過ぎ、結末もよくわからない。『和泉流狂言大成 第一巻』(山脇和泉著 1916刊 国会図書館D.C.)所収「鶏聟」を見ると、全体の流れは「吟聟」と、細部は「料理聟」とほぼ同じ狂言であることがわかる。
校訂者注
1:底本は簡略に過ぎ、結末もよくわからない。『和泉流狂言大成 第一巻』(山脇和泉著 1916刊 国会図書館D.C.)所収「鶏聟」を見ると、全体の流れは「吟聟」と、細部は「料理聟」とほぼ同じ狂言であることがわかる。
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