校訂評釈万の文反古(1947年刊)WEB目次
万の文反古 一巻
初巻
序
序
一 世帯の大事は正月仕舞
随分尾を見せぬ寅の年の暮 千里逃げても{*1}借銭は許さじ
二 栄華の引つ込み所
江戸手代算用の外 鎌倉へ隠居の年切り
三 百三十里の所を十匁の無心
若気の江戸下り今の後悔 いづれもの御異見切り目に塩物売り
四 来る十九日の栄耀献立
尤も京の涼み床とは言へどここも又 舟遊びに野郎見せばや難波風
巻二
一 縁付前の娘自慢
この文に母親の奢り乗り物 手も動かせぬ奉公雛
二 安立町の隠れ家
この文に敵の討ち損なひ 忠義の肴売りと成る身
三 京にも思ふやうなる事無し
この文に仙台に置き去りの女 頼み樽空に成る身代
巻三
一 京都の花嫌ひ
東山の草庵萩時分 長芋の有り所可笑し
二 開けて驚く書き置き箱
貸し銀時の用には立ち難し {*2}女の欲の入れ物重たし重たし
三 代筆は浮世の闇
烏は目前のしるし 命の儘ならぬ因果
巻四
一 南部の人見たもまこと
命ある内の弔ひ 取り急ぐ二度の婿殿
二 この通りと始末の書き付け
盗みは旅の時雨 大坂の恨みを武州より
三 人の知らぬ婆の埋み金
京で見た物は紬縞ばかり 節穴に置いて虫喰ひ手形
巻五
一 広き江戸にて{*3}才覚男
この文に身持ちの異見 銀借る仕掛け件の如し
二 二膳居ゑる旅の面影
危ない物乳母が挿し櫛 因果は身に添ひて桑名まで
三 御恨みを伝へ参らせ候
嘘を世渡りにせし身にも まことを知らせけるは哀れに
四 桜の吉野山難儀の冬
無病無分別に山居の一とせ いかにしても寝覚に淋しやの
校訂者註
1:底本は、「千里にかけても」。『新日本古典文学大系77』(1989)に従い改めた。
2:底本に、「女の欲の入れ物重たし重たし」は無い。『新日本古典文学大系77』(1989)に従い改めた。
3:底本は、「江戸にて」。『新日本古典文学大系77』(1989)に従い改めた。
校訂評釈万の文反古(1947年刊)WEB凡例
1:底本は『校訂評釈西鶴全集 第一巻(1947年刊)』(藤村作校訂 至文堂 1947年刊 国会図書館デジタルコレクション)です。但し、同書は巻五「二膳据ゑる旅の面影」全てと巻二「京にも思ふやうなる事なし」の一部を欠くため、それらは『西鶴文集』(幸田露伴編 博文館 1914年刊 国会図書館デジタルコレクション)を本文底本としました。
2:校訂の基本方針は「本文を正確にテキスト化しつつ、現代の人に読みやすくする」です。
3:底本のふりがなは全て省略し、底本の漢字は原則現在(2025年)通用の漢字に改めました。
4:繰り返し記号(踊り字)、合字(合略仮名)等は、漢字一字を繰り返す「々」を除き、原則文字表記しました。
5:句読点、濁点半濁点および発話を示す鍵括弧は適宜修正、挿入し、改行も適宜しています。
6:かなづかい、送り仮名は、文語文法に準拠し、適宜改めました。
7:書簡文特有の漢文調表現(「如件」「奉存候」等)は、送り仮名に従い、適宜改めました。
8:校訂には『井原西鶴集 三』(谷脇理史、神保五弥、暉峻康隆校注・訳 小学館 1972)、『新日本古典文学大系77 武道伝来記 西鶴置土産 万の文反古 西鶴名残の友』(谷脇理史校注 岩波書店 1989)を参照しました。
9:底本本文の修正のうち、必要と思われるものは校訂者注で示しました。但し、以下の漢字は原則として、他の漢字あるいはかな表記に変更しました。
漢字表記変更一覧
複数篇にわたるもの(五十音順 但し現代仮名遣い)
ア行
明く→開く・空く 跡→後 入る→要る 偽→嘘 中→内 上気→浮気カ行
帰る・帰す→返る・返す 貌・皃→顔 各別→格別 借す→貸す 替はる・替ふ→変はる・変ふ 義→儀・議 下子・下女→下衆 断り→理 比→頃サ行
島→縞 拾→十 児・唲→少 身体→身代 居う→据う 形→姿 住居→住まひ 角→隅 忰子→倅 そく才→息災タ行
焼く→焚く・炊く 慥か→確か 立つ→建つ・経つ 立て→縦 同前→同然ナ行
中→仲 詠む→眺む 泪→涙 弐→二 悪し・悪む→憎し・憎む 廿→二十 念比→懇ろ 窅く→覗く 駕籠→乗り物ハ・マ行
咄し→話 祖母→婆 隙→暇 二たび→再び 食→飯 本・許→元ヤ・ラ・ワ行
屋→家 娌→嫁 良→郎 牢人→浪人 脇指→脇差
上記以外(篇毎 登場順)
目次 驫く→驚く
1-1 違ふ→変ふ 突く→搗く 扣く→叩く 牛房→牛蒡 与→組 一間→一軒
1-2 妾→手かけ 夷→蝦夷
1-3 団→団扇 抓む→掴む 形気→気質 溜む→貯む
1-4 雑喉→雑魚
2-1 純子→緞子 蓋ふ→覆ふ
2-2 面→表 意恨→遺恨
2-3 独→一人 食→飯 釣る→吊る 碇→錨 執行→修行
3-1 引く→弾く 鎰→鍵 清政→清正 筑山→築山 物→者 悌→面影 産まる→生まる 懐ふ→思ふ
3-2 改名→戒名 友→共 碓→石臼 仔細→子細 大やう→鷹揚
3-3 発す→起こす 有る→或る 童子→童べ 高尾→高雄
4-1 節→説 実→身 鱠子→鱠 棉→木綿
4-2 碓→唐臼 竹の小笠→筍笠
4-3 非時里→聖 痳病→淋病 傘→唐傘 自子→実子 椙→杉
5-1 織り目→折り目
5-2 孫→孫子 壱→一 打つ→討つ 姿→菅田
5-3 口舌→口説 挑灯→提灯
5-4 読む→詠む 云ふ→言ふ 所→処 素湯→白湯 備ゆ→肥ゆ 維子→帷子
なお、底本には現代では差別的とされる表現がありますので、その点、ご注意ください。
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