【翻字】
 兄弟(あにおとゝ) うやまひをなし はぐくむは 誰もかくこそ あらめ世中

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 あにおとゝと句を切 てうやまひといへる字 を兄をうやまふとい へる心に弟といへる 字にかけて見はごく むといへる字を弟を はごくむといへる心に 兄といへる文字に かけて見るへし是文 法なり注のこゝろは 前の哥にて見たり

【通釈】
 兄弟が、弟は兄を敬い、兄は弟を育むという関係であるのは、誰もそのようでありたいものである。この世の中は。

 「兄弟」と(ここでいったん)句を切り、「敬い」という字を「兄を敬う」という意味で「弟」という字に続けて見、「育む」という字を「弟を育む」という意味で「兄」という字に続けて(上の句全体は)見るべきである。これは(一つの)文法(に従った表現)である。注(として)の本質的な意味は前の歌の注(の中)で見てきたとおりである。

【語釈】
・心…物事の本質をなす意味。

【解説】
 第二首目は「兄弟」が思い合うことの重要性について詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、左手に農作物らしきものを入れた籠を提げた兄が弟の手を引いている姿を描いています。二人が互いの顔を見ているのが、歌の心をよく表しています。

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(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))

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