【翻字】
 世中はねみだれがみの 風情して きのういひしや今日かはるらん

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 人の心はかやりやすき ものなり男女の情 朋友の交(まじはり)とても 皆以てかくのごとし 始め終り礼により て私の心なければ 自(をのつか)ら変改なき也 張耳(ちやうじ)陳余が如きも 私の心出来て石交 も破れたり慎しむ へし

【通釈】
 世の中は、寝乱れ髪のようなもので、昨日言っていた事が今日は変わるというようである。

 人の心は変わりやすいものである。男女間の愛情も、朋友間の付き合いも、皆そのようなものである。最初も最後も私心というものがなく、礼によるものであれば、自然と変化することもない。張耳と陳余のような「刎頸の友」であっても、私心が生まれた結果、石のように堅い友情も破綻したのである。慎むべき事である。

【語釈】
・張耳陳余が如き…共に秦末漢初の人物。「刎頸の友」と互いを認めたが、後に仲違いし激しく憎悪し合った。
・石交…友情の堅いこと。

【解説】
 第五十一首目は、「人の心は変わりやすい」ことについて詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、室内で何か書き物をしている女性を、戸の隙間から武士と提灯を持った小者が覗いて様子をうかがっている場面が描かれています。夜の女性の寝所という以外に、歌との関連性のない絵柄です。

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(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))

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