【翻字】
 世中は いづれの道も しならひて 時の人数(にんじゆ)に なりぬるがよし

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 これは芸道の たしなみをいへり 貴賎しな異(ことな)りと いへども心をよする 事切(せつ)ならば何れの 道にか上達せざらん 一道に上達するも のは必ず時の人数 におし加へらるゝ其 身の面目なるべし

【通釈】
 世の中は、どの道によらず学んで、その時々の一人前の人として認められるのが良い。

 この歌は、芸道の心得を言っている。身分の貴賎は人それぞれであるが、心を込めてするならば、どの道でも上達しないことがあろうか。一つの道に上達する者は、必ずその時々の一人前の者として認められる名誉を得るであろう。

【語釈】
・ならふ…経験して身につける。学ぶ。
・人数(ひとかず)…一人前の人間として数えられること。人並み。
・たしなみ…芸事などに関する心得。
・切…心をこめてするさま。ねんごろ。
・面目…世間や周囲に対する体面・立場・名誉。

【解説】
 第六十三首目は、「芸道に打ち込み上達する」ことの重要性について詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、貴族らしき男性二人と町人らしき男性一人が、木柵の中で蹴鞠をしている姿が描かれています。

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(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))

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