【翻字】
世中にふとかるべきは 宮ばしらほそかるべきは 心なりけり
世中にふとかるべきは 宮ばしらほそかるべきは 心なりけり

はしらはふとくいた はあつかれとはやまと びめの神勅なり是 神をうやまふ礼敬(れいきやう) のあつきがいたす 所なりこゝろほそ かるべしとは毎事 つゝしみおそれて 心をみだりにほう らかさゞれとなり 文王の小心とのた まひしにもかよふべし
【通釈】
世の中で、太くあるべきなのは宮柱、細くあるべきなのは心であるなあ。
「柱は太く板は厚くあれ」とは倭姫が夢に見た神のお告げである。これは、神を敬う礼敬の心が篤いので、そのようにするのである。「心は細くあるべきだ」とは、何事にも畏れ慎んで、心をむやみに打ち捨ててはならないという意味である。古の聖王である文王が「心を慎む」と仰ったのにも通じるであろう。
【語釈】
・ほそい…気が小さい。繊細である。
・やまとびめの神勅…『倭姫命世記』泊瀬朝倉宮大泊瀬稚武天皇(雄略天皇)二十一年に見える記事。
・礼敬…礼をもって敬うこと。
・ほふらかす…うち捨てる。ほうり出す。
・文王…周王朝の始祖。聖王の一人。
・小心…細かいことにまでよく気を配ること。細心。注には訓点があり、「心を小(せむ)る」と読める。『詩経』大雅に見える言葉。
・やまとびめの神勅…『倭姫命世記』泊瀬朝倉宮大泊瀬稚武天皇(雄略天皇)二十一年に見える記事。
・礼敬…礼をもって敬うこと。
・ほふらかす…うち捨てる。ほうり出す。
・文王…周王朝の始祖。聖王の一人。
・小心…細かいことにまでよく気を配ること。細心。注には訓点があり、「心を小(せむ)る」と読める。『詩経』大雅に見える言葉。
【解説】
第六十九首目は、「宮柱は太く立て、心は細く慎む」ことの重要性について詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、神社の境内の様子が描かれています。

(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))