【翻字】
 忠をこそ 人にせずとも 心なき そのはたらきは何ぞ世中

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 おのれが心を人に つくすを忠といふ 哥のこゝろはさやうの よき事は得(え)せず ともせめて人のため に心なきあしき はたらきはかならず せまじき事ぞと なり忠なきうへに 人道にそむくあし きはたらきならば 何ぞ世にある人と いはんやといたくいま しめたることば也

【通釈】
 人に真心を尽くさないまでも、思いやりのないその働きぶりは一体何なのか。世の中は。

 自分の心を人に対して尽くす事を「忠」と言う。この歌の心は、そのような立派な事はできなくても、せめて人に対して思いやりのない悪い事は決してしてはならないぞという事である。「真心がない上に人としての道に背いた働きであるなら、どうしてそのような人を、世の中にいなければならない人であると言えようか」と、厳しく戒めた言葉である。

【語釈】
・忠…真心。誠意を尽くすこと。
・こころなし…思いやりがない。

【解説】
 第七十二首目は、「思いやりのない仕事をしてはいけない」ことについて詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、洗濯をして着物を竹竿に掛けて干している一人の女性の姿を描いています。女性は眉を八の字にして笑みを浮かべ、何やら悪意を抱いているようです。

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(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))

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