【翻字】
 世中に人を いろひてなにかせむ 柳はみどり花はくれなゐ

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 柳はみどりに花は くれなゐなる真に これ法性(ほつしやう)の現成せる 姿なり一休も男は をとこ女はをんなの まゝにしてこそといへ り妄情を以て種々 の揀択をなすべからず

【通釈】
 世の中で、人に口出ししてどうしようというのか。人にも物にもそれぞれ個性がある。

 柳は緑に芽吹き、花は赤く咲くというのは、実に本来の性質が自然と生じ完成した姿である。一休禅師も「男は男、女は女、それぞれありのままで(良いので)ある」と言っている。心を誤って持ち、いろいろと選り好みをしてはならない。

【語釈】
・いろふ…かかわる。口出しする。干渉する。
・柳は緑花は紅…ものにはそれぞれ個性が備わっていることのたとえ。
・法性…すべての存在や現象の真の本性。
・現成…眼前に隠れることなく、ありのまま 現れていること。自然にできあがっていること。
・一休…(1394~1481)。禅僧。言葉の出典は不詳。
・妄情…誤った心のもち方。
・揀択…取捨憎愛の見方によって物を分別し、えり好むこと。

【解説】
 第九十六首目は、「人に干渉したり、選り好みをしない」ことの重要性について詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、河畔の柳の木が描かれています。

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(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))

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