【翻字】
世中は身の上をしれ しれやしれ しれやよの中 しれや世中
世中は身の上をしれ しれやしれ しれやよの中 しれや世中

天をかけり地をくゞ るといふとも其身の うへをしらずんばちゑ ある人とはいひがたし 身をおさめてのちに 人をもおさむるは大 学のをしへにも見えたれ 天子御身のうへを しろしめさゞれば天 下をうしなひ給ふ諸 侯身をしりたまはね ば国をうしなひ大夫身 の上をしらねば家を うしなふまことにみづ からかへりみひとりは かりて此身のうへを しれや世中
【通釈】
世の中は、自分の定めを知りなさい。とにもかくにも(生きる要諦は)それに尽きる。
天高く飛び、地の底を潜る事ができたとしても、自分の定めを知らないならば、知恵のある人とは言えないだろう。自分自身を修めて初めて人を治める(事ができる)というのは、『大学』の教えの中にも見える言葉である。天子が自分自身をお知りにならなければ、天下を失いなさるし、諸侯が自分自身をお知りにならなければ、その国を失うし、大夫が自分自身を知らないならば、その家を失う。実に自分を省み、一人よく考えて、自分の定めというものを知りなさい。世の中は。
【語釈】
・身の上…その人の境遇。人間の運命。
・かける…空高く飛ぶ。飛翔する。
・くぐる…通り抜ける。中にもぐる。
・身をおさめてのちに人をもおさむるは大学のをしへ…『大学』に見える言葉、「修己治人」を指す。
・大夫…中国、周代の職名。卿の下、士の上。
・はかる…物事を考え合わせて判断する。
・かける…空高く飛ぶ。飛翔する。
・くぐる…通り抜ける。中にもぐる。
・身をおさめてのちに人をもおさむるは大学のをしへ…『大学』に見える言葉、「修己治人」を指す。
・大夫…中国、周代の職名。卿の下、士の上。
・はかる…物事を考え合わせて判断する。
【解説】
第九十八首目は、「自分の定めを知る」ことの重要性について詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、二人の子供の前に一人の男性が座っていて、子供の一人が男性を指さしている場面が描かれています。絵の意味は不明です。

(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))