【翻字】
 世中に君は千代(ちよ) ませませとすぐなる人に あるはてんをん

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 君が千とせは あめつちときは まりなくときは かきはにかぎり なくしげ御代(みよ) とさかへましませ と祈りたてまつ るは今日恩沢 の身にあまれる を感戴(かんたひ)せる也

【通釈】
 世の中で、天皇は千年も長生きでいらっしゃいませとお祈りする、素直な人には天の恵みがある。

 天皇の千年の御寿命は天地とともに極まりなく、永遠に威勢盛んな御代としてご繁栄なさいますようにと祈り申し上げるのは、現在そのお恵みがこの身に溢れている事を有り難く押し戴いている(、そんな心を詠んだ歌な)のである。

【語釈】
・君…天皇。
・千代…千年。非常に長い年月。
・すぐなり…まっすぐだ。素直だ。
・天恩…天の恵み。
・ちとせ…千年。非常に長い年月。
・あめつち…天と地。全世界。てんち。
・ときは…永遠に変わることのない神秘な岩。常磐。
・かきは…かたくしっかりとした岩。堅磐。
・ときはかきはに…物事が永久不変であること。とこしえに。
・しげ…しげみ。木の生い茂った場所。文意不詳。あるいは「茂御代 ( いかしみよ )」か。勢い盛んな御代。
・恩沢…人や物に利益や幸いをもたらすこと。おかげ。恵み。恩恵。
・感戴…ありがたくおしいただくこと。

【解説】
 第百首目は、「天皇のご長寿を祈る素直な心に天恵がある」ことについて詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、松に鶴亀を配した、長寿を寿ぐめでたい絵柄です。

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(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))

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