【翻字】
仏国国師(ぶつこくこくし)
たてぬ的(まと) ひかぬ弓(ゆみ) にて 放(はな)つ箭(や)は あたらざれども はづれざりけり
〇師名は顕日(けんにち)号は高峯(かうほう)後(ご) 嵯峨帝(さがてい)の皇子(みこ)也十六にて 聖一国師によつて落髪(らくはつ)し 兀菴(ごつたん)和尚に建長に見(まみ)へ無(む) 学(がく)禅師に円覚に参して 其法を嗣(つぎ)下野那須(しもつけなす)に雲岩 寺を開(ひらき)て大ひに祖風(そふう)をふる ふ時に大応(おう)国師筑前(ちくぜん)の横(をう) 岳(がく)に有(あり)て化(け)さかん也天下の僧徒(そうと) 那須横岳(なすわうがく)をさして二甘露門(にかんろもん) と称す正和五年十月廿日寂す寿 七十六勅して仏国国師と諡す
【校訂本文】
仏国国師
立てぬ的 引かぬ弓にて 放つ矢は 当たらざれども 外れざりけり
〇師、名は顕日、号は高峯、後嵯峨帝の皇子なり。十六にて聖一国師によつて落髪し、兀菴和尚に建長に見へ、無学禅師に円覚に参して、その法を嗣ぎ、下野那須に雲岩寺を開きて、大ひに祖風をふるふ。時に大応国師、筑前の横岳に有つて、化、盛んなり。天下の僧徒、那須・横岳をさして「二甘露門」と称す。
正和五年十月廿日、寂す。寿七十六。勅して、仏国国師と諡す。
【語釈】
後嵯峨帝:第88代天皇(在位:仁治3年(1242年)~寛元4年(1246年))
聖一国師:円爾弁円。鎌倉時代の臨済宗の僧。京都・東福寺の開山。
兀菴和尚:兀菴普寧。南宋から渡日の臨済宗の僧。建長寺2世。
無学禅師:無学祖元。南宋から渡日の臨済宗の僧。円覚寺の開山。
雲岩寺:正しくは雲巌寺。栃木県太田原市の臨済宗寺院。12世紀に創建され荒廃、弘安6年(1283年)高峰顕日を開山として復興。
大応国師:南浦紹明。鎌倉時代の臨済宗の僧。
横岳:崇福寺の山号
甘露:仏の教えのたとえ
正和五年:1316年
【解説】
10人目は高峯顕日です。紹介文はその略歴です。
歌は禅味あふれる歌意です。

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