1938年(昭和13年)に撮影された空中写真と、復原した「二階教場図」をもとに、旧山名邸全体を復原してみました。まずは東側から見た側面図です。点線は採光のための窓および入口を示します。なお、玄関の東にあったはずの別棟と渡り廊下、北側のトイレ及び渡り廊下は適宜割愛してあります。

0815 東側面図

 次に、南側から見た側面図です。

0816 南側面図

 西側通用口の上にも、つし二階の屋根があります。これは、階段を上り切った中央部分に十分な頭上高が確保されていたであろうことと、空中写真に写る屋根の形状とから、屋根は西側いっぱいまであったと推測して、このように復原しました。なお、復原図を自然な外観にするために、間取図にない以下の要素を加えました。窓や玄関の上の庇、窓の脇の雨戸の戸袋、玄関と通用口の敷石です。また、地上高60cmの高さに引いた太線は、一階床面と床下との境界を示します。

 略図ではありますが、こうして復原してみると、18世紀前半の享保年間頃に建てられた伊勢山名邸=修天爵書堂は、なかなかの威容であったように思います。