序
夫(それ)花の下(もと)の居続(いつゞけ)は美景に因(よ)り樽の前
の酔(ゑひ)さめは春風に吹かる飲(のめ)や歌へや
歌念仏(うたねぶつ)も極楽浄土へ行(ゆく)時は中々
親の異見でもあまいだあまいだと説かれたり
雨の降る夜も雪の夜も福輪糖(ふくりんとう)のこり
の酔(ゑひ)さめは春風に吹かる飲(のめ)や歌へや
歌念仏(うたねぶつ)も極楽浄土へ行(ゆく)時は中々
親の異見でもあまいだあまいだと説かれたり
雨の降る夜も雪の夜も福輪糖(ふくりんとう)のこり
もせで三国一の霰(みぞれ)でもなんでもかでも
与勘平(よかんべえ)と膏薬のはりつよき女郎(ぢようろ)
の誠を見る事は江戸自慢の鼻高き
山吹色の勢(いきおひ)なるべし今山の手の馬鹿人(ばかひと)が
著す所の一篇は南鐐(なんりやう)一片にまされる事
遠し身は岡場所の卑(ひきゝ)に居て天水桶の
与勘平(よかんべえ)と膏薬のはりつよき女郎(ぢようろ)
の誠を見る事は江戸自慢の鼻高き
山吹色の勢(いきおひ)なるべし今山の手の馬鹿人(ばかひと)が
著す所の一篇は南鐐(なんりやう)一片にまされる事
遠し身は岡場所の卑(ひきゝ)に居て天水桶の
高きをしり心は浅黄裏のあさきに
似て藍より青き色に染(そま)んかしと
書肆何某(しよしなにがし)の数請(てこずる)にまかせて葦簾(よしず)
の陰にごそごそと序す
折輔談翁(おりすけだんのう)
似て藍より青き色に染(そま)んかしと
書肆何某(しよしなにがし)の数請(てこずる)にまかせて葦簾(よしず)
の陰にごそごそと序す
折輔談翁(おりすけだんのう)