【翻字】
心にも入(いり)てあつかふ 物ならばくじは ぶゐにやならん世中
心にも入(いり)てあつかふ 物ならばくじは ぶゐにやならん世中
公事(くじ)沙汰出入の うつたへをするもの ともにてつせきの 心をたもつて いひ出せるわざなれば それをあつかふには かりそめの挨拶にて 和解せんこと必定 難かるべし衷情よ り出て心をくだき 身にかへてあつかふ ほどならばなどか 無為にはならざら んや
【通釈】
親身になって仲裁するならば、裁判は平穏無事に収まるだろうか。世の中は。
訴訟や裁判、争い事の訴えをする者は、(原告被告)共に極めて堅い意思で言い出した事であるから、それをいい加減な仲裁で和解するのはきっと難しいはずである。真心を込めて一身に代える位の意気込みで仲裁するならば、どうして平穏無事に収まらないことがあろうか。
【語釈】
・入(いり)て…「いり」のふりがな不審。「いれ」の意か。「心に入る」は「深く心に留める。親身になる」。
・あつかふ…仲裁する。
・公事…訴訟およびその審理・裁判。
・無為…平穏無事なこと。
・沙汰…物事を処理すること。特に、物事の善悪・是非などを論じ定めること。裁定。また、裁決・裁判。
・出入…俗に、争いごと。もめごと。けんか。
・鉄石の心…きわめて堅固な意志。鉄心。
・かりそめ…いいかげんなこと。
・挨拶…争い事の中に立って仲裁すること。
・必定…きっと。かならず。
・衷情…うそやいつわりのない、ほんとうの心。
・あつかふ…仲裁する。
・公事…訴訟およびその審理・裁判。
・無為…平穏無事なこと。
・沙汰…物事を処理すること。特に、物事の善悪・是非などを論じ定めること。裁定。また、裁決・裁判。
・出入…俗に、争いごと。もめごと。けんか。
・鉄石の心…きわめて堅固な意志。鉄心。
・かりそめ…いいかげんなこと。
・挨拶…争い事の中に立って仲裁すること。
・必定…きっと。かならず。
・衷情…うそやいつわりのない、ほんとうの心。
【解説】
第七十六首目は、「真心で訴訟を裁く」ことの重要性について詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、座敷で二人の男性が対坐し、互いに熱心に話に身を入れている場面を描いています。
(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))