『世中百首絵鈔』は、享保年間(1722)と天保年間(1835)の二度出版されています。
三重県立図書館の公開しているデジタル画像の書誌には1722年としてありますが、画像を見る限りでは天保六年の序があり、1835年版であるように思います。今からその内容をご紹介していきたく思います。
「世中百首」は、伊勢神宮内宮の禰宜の家に生まれた荒木田守武(1473-1539)の作による百首歌です。守武は「俳諧の祖」と呼ばれ、俳諧の創始者の一人ですが、和歌も詠みました。「世中百首」は1525年に詠まれた百首歌で、人の生き方を説いた道歌であり、百首すべてに「世の中」という語が詠み込まれています。
これに絵と注釈を加えたのが本書です。本書には「伊勢論語」の異称もあります。
絵も楽しく、歌にも注釈にも現代に通じる教えが含まれているものが少なくありません。