校訂武道伝来記(1939年刊)WEB目次
武道伝来記 諸国敵討
序
序
「和朝兵揃へ」の中に、為朝の鉄の弓、武蔵坊が長刀、朝比奈が力こぶ、景清が眼玉。これらは、見ぬ世の事。中古武道の忠義、諸国に高名の敵討。その働き、聞き伝へて、筆の林、言葉の山。心の海静かに、御松、久方の雲に、慶びの舞鶴、これを集めぬ。
目録鶴永 松寿
巻一
第一 心底を弾く琵琶の海 形も情けも同じ美童の事
第二 毒薬は箱入りの命 人質は夢の内蔵の事
第三 物申どれと言ふ俄正月 最後は知れで女郎買ひの事
第四 内儀の利発は変はつた姿 せはしき中に預け物の事
巻二
第一 思ひ入れ吹く女尺八 落ち鞠に色見染むる{*1}事
第二 見ぬ人顔に宵の無分別 熊野に夢の面影出る事
第三 身代破る落書きの団扇 水浴びせのじやじや馬作る事
第四 命取らるる人魚の海 忠孝知るる矢の根の事
巻三
第一 人差し指が三百石が物 小道具売りに変へ姿の事
第二 按摩取らする化け物屋敷 打てど手のない小鼓の事
第三 大蛇も世にある人が見たためし 竹刀は当たり眼の事
第四 初茸狩りは恋草の種 義理の包み物心のほどくる事
巻四
第一 太夫格子に立つ名の男 形は埋めど武士は朽ちざる事
第二 誰が捨て子の仕合せ 腰元の久米情けに身の果つる事
第三 無分別は見越しの木登り 敵も一度主人にかたれぬ事
第四 踊りの中の似せ姿 舌の剣に命を取る事
巻五
第一 枕に残る薬違ひ 法師昔に帰る月代の事
第二 吟味は奥縞の袴 意気地を書き置きに知る事
第三 不断に心がけの早馬 歎きの中に島台出す事
第四 炬燵も歩く四つ足 鉢叩きは我が国声の事
巻六
第一 女の作れる男文字 姉より妹が奉公振りの事
第二 神木の咎めは弓矢八幡 同行三人若衆巡礼の事
第三 毒酒を請け太刀の事 神鳴りに月代差し合ひの事
第四 石臼引くべき埴生の琴 鴛鴦の剣衾を通す事
巻七
第一 我が命の早使 灸据ゑても身の熱きを知らぬ事
第二 若衆盛りは宮城野の萩 義理に身捨つるは褒め草の事
第三 新田原藤太 百足枕神に立つ事
第四 愁への中へ樽肴 敵討たで横手を打つ事
巻八
第一 野机の煙比べ 身は一つを情けは二つの事
第二 惜しや前髪箱根山颪 涙の時雨に木綿合羽の事
第三 播州の浦浪皆返り討ち 雪の夜鶏思ひも寄らぬ命の事
第四 行水で知るる人の身の程 伊賀の上野にて討ち納めたる刀箱の事
校訂者註
1:底本は、「色(いろ)そむる」。『武道伝来記』(1992)に従い改めた。
校訂武道伝来記(1939年刊)WEB凡例
1:底本は『武道伝来記』(和田万吉校訂 岩波文庫 1939年刊 国会図書館デジタルコレクション)です。
2:校訂の基本方針は「本文を正確にテキスト化しつつ、現代の人に読みやすくする」です。
3:底本のふりがなは全て省略し、底本の漢字は原則現在(2025年)通用の漢字に改めました。
4:繰り返し記号(踊り字)、合字(合略仮名)等は、漢字一字を繰り返す「々」を除き、原則文字表記しました。
5:句読点、濁点半濁点および発話を示す鍵括弧は適宜修正、挿入し、改行も適宜しています。
6:かなづかい、送り仮名は、文語文法に準拠し、適宜改めました。
7:底本の漢文は適宜訓読を修正し、書き下して示しました。
8:校訂には『武道伝来記 決定版 対訳西鶴全集7』(麻生磯次、冨士昭雄著 明治書院 1992)、『井原西鶴集4』(冨士昭雄校注 小学館 2000)を参照しました。
8:校訂には『武道伝来記 決定版 対訳西鶴全集7』(麻生磯次、冨士昭雄著 明治書院 1992)、『井原西鶴集4』(冨士昭雄校注 小学館 2000)を参照しました。
9:底本本文の修正のうち、必要と思われるものは校訂者注で示しました。但し、以下の漢字は原則として、他の漢字あるいはかな表記に変更しました。
漢字表記変更一覧
複数篇にわたるもの(五十音順 但し現代仮名遣い)
ア行
愛拶→挨拶 明く→開く・空く 揚ぐ→上ぐ 跡→後 有る・有→或る 周章敷・周章つ→慌ただしく・慌つ 碓→石臼 壱→一 入る→要る 婬→淫 候ふ・窺ふ→伺ふ 中→内 団→団扇 打つ・討つ→討つ・打つ・撃つ 移す・移る→映す・写す・映る 姨・姥→乳母 椽→縁 越度→落ち度 駭かす・駭く→驚かす・驚く 各→各々 姨→叔母 俤→面影
カ行
海道→街道 帰す・返す・帰る・反る→返す・帰す・返る かへり見る→顧みる 貌→顔 缺く→欠く 懸く・欠く→駆く 各別→格別 陰・影→蔭 累なる→重なる 首→頭 借す→貸す 側・側ら→傍ら 歩士・歩行→徒士 首途→門出 替はる・更はる・替ふ・換ゆ→変はる・変ふ・替ふ 義・儀→儀・議 斫る→斬る 詢く→口説く 僻者→曲者 気色→景色 糺明→糾明 噛ふ→食ふ 草むら→叢 音→声 火燵→炬燵 詞・辞→言葉 理→断り 比→頃
サ行 𫆛→月代 差図→指図 指す・差す→差す・刺す 噪ぐ→騒ぐ 呵る→叱る 時宜→辞儀 随ふ→従ふ [⿱竹革]・品柄→竹刀 島→縞 拾→十 執行→修行 順礼→巡礼 如在→如才 身袋・身体→身代 尠し・鮮し→少なし 介→助 世悴・悴子→倅 僉儀・穿議→詮議 疎・麁→粗
タ行
焼く→焚く 慥か→確か 敲く→叩く 立つ→経つ 莨菪・莨→煙草 魂→玉 挑灯→提灯 爴む・抓む→掴む 付く・着く→着く・就く 次ぐ・続ぐ→継ぐ 釣る→吊る・弦 妾・妾女→手かけ 方便・手便→手立て 問ふ・訊ふ→弔ふ 同前→同然 宿番→泊り番 共→供 灯→灯し火
ナ行
中→仲 詠む→眺む 抛ぐ→投ぐ 泪→涙 貳→二 悪し・悪む→憎し・憎む 廿→二十 白眼→睨む 塒→寝ぐら 念頃・懇情→懇ろ 遁す・免る・遁る→逃す・逃る 窅く→覗く
ハ行
天巻→鉢巻 咄・咄し→話 婆々→婆 比興→卑怯 引く→弾く 日来→日頃 美児→美少 独り・独→一人 隙→暇 臥す→伏す 二度・二たび→再び 不便→不憫 古郷→古里 讃む→褒む
マ行
見世→店 廻らす・廻る→巡らす・巡る 翫ぶ→もて遊ぶ 本・許→元・下 物→者 嘇→物申
ヤ行 屋→家 傷る→破る 行衛→行方 免す・赦す・緩す→許す 娌→嫁 終夜→夜もすがら
ラ・ワ行 留主→留守 牢人→浪人 若等→若党 脇指→脇差
上記以外(篇毎 登場順)
序 居う→据う 治む→納む
1-1 紀→記
1-2 児枕→後腹 豕→亥の子 像→形 割く→裂く 処→所 根→嶺
1-3 丸雪→霰 衣裏→襟 成仁→成人 藤→伏 外戚→母方 歯→牙
1-4 畾紙→礼紙 焼く→炊く 猟士→猟師 忩劇→怱劇 筥→箱 睡る→眠る
2-1 踏→沓 鬠→元結 織女→織姫 同苗→同名 慎む→包む 乳女→乳母 経営→営み 爺→父 設く→儲く 油断→油単 馴かし→懐かし
2-2 形気→気質 十方→途方
2-3 忍ぶ→偲ぶ 鳴戸→鳴門 尋ぬ→訪ぬ 改名→戒名 参詣→詣づ
2-4 夫妻→婦妻 勤む→詰む 迂乱→胡乱 猟師→漁師
3-1 甲→兜 過失→過ち 食→飯 倒惑→当惑 家産→家苞
3-3 前→先 夕→昨夜 啼く→泣く 犢鼻褌→褌 放す→外す 大平→太平 遮る→先切る 逢ふ→合ふ
3-4 巵→盃 摩利支丹→摩利支天 𦬇→菩薩 倶→共 欠く→駆く 席間→座敷
4-1 安部→安倍 寒→冴ゆ 蜑→海人 伯父→叔父 沖津→興津
4-2 相坂→逢坂 諷ふ→謡ふ
4-3 十露盤→算盤 幼稚→幼し 撫育→育つ 馴し→懐かし 越かた→来し方 骸→体 族→輩 是歳→今年
4-4 風流→伊達 下し→低し 養父→藪
5-1 [⿱入日]す→暮らす 厳し→美し 饗応す→もて囃す 云く→曰く 按ず→案ず 原→源 燎く→焼く 疾→病 象→形 若し→如し 噬む→噛む 意魂→心玉 裹む→包む 胎→苔 亢ぶる→高ぶる 逎ち→則ち 籠山→香久山 露はる→顕はる [⿰巾頭]→頭巾 干鮭→乾鮭 腥し→生臭し
5-2 村→群 鵆→千鳥 思謂→思はく 本腹→本復 一端→一旦 請け給はる→承る 高架→後架 夜部→夜辺 下来→下つ方 詐る→偽る
5-3 払髪→剃髪 和す→合はす 時勢→今様 便り→頼り 演ぶ→述ぶ 土産→家苞 男子→息子
5-4 虚→空き 透間→隙間 煩ふ→患ふ 籠む→込む 粮→糧 反橋→戻り橋 士→侍
6-1 謔楽→戯れ 梧→桐 詫ぶ→侘ぶ 算む→読む 移す→写す
6-2 翅→翼 向→先 翌→明け 立田→龍田 側→傍 凩→木枯らし 諍ふ→争ふ 慣ふ→習ふ 卜む→占む
6-3 何某→何がし 鉄炮→鉄砲 継→次 雷公→雷 動顛→動転 単→一重 産物→土産 酬ゆ→報ゆ 濳然→涙ぐむ
6-4 関→堰き 艶し→優し
7-1 間→軒 檀那→旦那 飽る→呆る 祝言→寿く 渧く→歎く 嫁す→め合はす
7-2 遑→暇 相→合ひ 目がね→眼鏡 用害→要害 一致→一つ 血染→血汐
7-3 籠島→鹿児島 真妙→神妙 布呂敷→風呂敷 棒→坊
7-4 古往→古 窟→屈 凶々敷→忌々しき 家頼→家来 肯く→受く 浮き目→憂き目 存命→長らふ 潔清→潔し
8-1 福智山→福知山 童子→童 荷ふ→担ふ 貫く→抜く 躯→体
8-2 水海→湖 男体→男なり 心易し→心安し 長卿→大人 利し→鋭し 大阪→大坂 別る→分かる
8-3 馬口労→博労 立野→龍野 鸙→雲雀 檀→壇 輪穴→罠 気積り→気詰まり 風→風邪
8-4 進む→勧む 片生→片息 角→隅 利→理
なお、底本には現代では差別的とされる表現がありますので、その点、ご注意ください。
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