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世中百首絵鈔76~101 index
跋歌 世の中の大永五年長月の庚申の夜 百首詠むなり
【翻字】
世の中の大永五年 長月のかのえさるの夜 百首よむなり

【通釈】
世の中で、大永五年九月の庚申の夜に、百首詠む事である。
【語釈】
・大永…元号。1521~1528年。
・長月…陰暦九月。
・庚申…干支の五十七番目。年月日を干支で表す暦法があった。
・長月…陰暦九月。
・庚申…干支の五十七番目。年月日を干支で表す暦法があった。
【解説】
この歌は荒木田守武の歌ではなく、編者もしくは注者による歌と推察されます。絵は、貴人男性が書机を前に筆を手にして座る姿が描かれています。

(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))
百一 天照す神の教へを背かずは 人は世の中富貴繁盛
【翻字】
天照(あまてら)す神のをしへを そむかずは 人は世中 富貴(ふつき)繁盛

吾(わが)神道のをしへ 中道正直の外に 出ず神は垂(たる)るに 祈祷をもつて本(もと) とし冥加は正直 をもつて先(さき)とすと の神勅いやちこ なればその正直の 御をしへを守る人 はをのづから天照(あまてる) 神(かみ)のめぐみにかなひ 豊(とよ)さかのぼりにとみ さかへ侍らん事なれ ばたれもたれも広大 の恩光をわする べからざる事也
【通釈】
天に光り輝いておいでになる神の教えに背かないならば、人はこの世で富み貴くなり、繁盛する。
我が国の神道の教えは、極端に偏らず、正直であれという事の外に出るものではない。「神は、祈祷する事によりその神威を現し示すのが本来であり、神の恩恵は正直な者に授けられるのが第一である」という神のお告げは霊験あらたかであるから、その「正直であれ」という教えを守る人は、自然と天照大神のお恵みにかない、朝日が美しく輝き昇るように富み栄えますから、誰も皆神の広大なお恵みを忘れてはならない事である。
【語釈】
・天照す…天に光り輝いておいでになる。
・天照す神…天照大神。日本神話における高天原の主神。皇室の祖神として伊勢神宮の内宮に祭られている。
・中道…仏教における、相対立する極端な概念・姿勢に偏らない実践や認識のあり方。
・垂る…現し示す。
・冥加…気がつかないうちに授かっている神仏の加護・恩恵。
・神勅…神のお告げ。神の命令。『倭姫命世記』雄略天皇二十三年二月の記事に見える言葉「神垂以祈祷為先、冥加以正直以本」。
・いやちこ…神仏の利益や霊験などのあらたかなさま。
・とよさかのぼり…朝日が美しく輝いてのぼること。
・恩光…君主の広大な恵み。君恩。
・天照す神…天照大神。日本神話における高天原の主神。皇室の祖神として伊勢神宮の内宮に祭られている。
・中道…仏教における、相対立する極端な概念・姿勢に偏らない実践や認識のあり方。
・垂る…現し示す。
・冥加…気がつかないうちに授かっている神仏の加護・恩恵。
・神勅…神のお告げ。神の命令。『倭姫命世記』雄略天皇二十三年二月の記事に見える言葉「神垂以祈祷為先、冥加以正直以本」。
・いやちこ…神仏の利益や霊験などのあらたかなさま。
・とよさかのぼり…朝日が美しく輝いてのぼること。
・恩光…君主の広大な恵み。君恩。
【解説】
第百一首目は、「神の教えに従えば、富貴になり繁盛する」ということについて詠んでいると、注釈は説明しています。但し、注は神の教えを具体的に「中道正直」とし、垂加神道の中心思想「神垂以祈祷為先、冥加以正直以本」を主張しています。絵は、鳥居をくぐる一人の正装した貴人あるいは神官と二人の従者の姿を描いています。

(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))
百 世の中に君は千代ませませと 直なる人にあるは天恩
【翻字】
世中に君は千代(ちよ) ませませとすぐなる人に あるはてんをん
世中に君は千代(ちよ) ませませとすぐなる人に あるはてんをん

君が千とせは あめつちときは まりなくときは かきはにかぎり なくしげ御代(みよ) とさかへましませ と祈りたてまつ るは今日恩沢 の身にあまれる を感戴(かんたひ)せる也
【通釈】
世の中で、天皇は千年も長生きでいらっしゃいませとお祈りする、素直な人には天の恵みがある。
天皇の千年の御寿命は天地とともに極まりなく、永遠に威勢盛んな御代としてご繁栄なさいますようにと祈り申し上げるのは、現在そのお恵みがこの身に溢れている事を有り難く押し戴いている(、そんな心を詠んだ歌な)のである。
【語釈】
・君…天皇。
・千代…千年。非常に長い年月。
・すぐなり…まっすぐだ。素直だ。
・天恩…天の恵み。
・ちとせ…千年。非常に長い年月。
・あめつち…天と地。全世界。てんち。
・ときは…永遠に変わることのない神秘な岩。常磐。
・かきは…かたくしっかりとした岩。堅磐。
・ときはかきはに…物事が永久不変であること。とこしえに。
・しげ…しげみ。木の生い茂った場所。文意不詳。あるいは「茂御代 ( いかしみよ )」か。勢い盛んな御代。
・恩沢…人や物に利益や幸いをもたらすこと。おかげ。恵み。恩恵。
・感戴…ありがたくおしいただくこと。
・千代…千年。非常に長い年月。
・すぐなり…まっすぐだ。素直だ。
・天恩…天の恵み。
・ちとせ…千年。非常に長い年月。
・あめつち…天と地。全世界。てんち。
・ときは…永遠に変わることのない神秘な岩。常磐。
・かきは…かたくしっかりとした岩。堅磐。
・ときはかきはに…物事が永久不変であること。とこしえに。
・しげ…しげみ。木の生い茂った場所。文意不詳。あるいは「茂御代 ( いかしみよ )」か。勢い盛んな御代。
・恩沢…人や物に利益や幸いをもたらすこと。おかげ。恵み。恩恵。
・感戴…ありがたくおしいただくこと。
【解説】
第百首目は、「天皇のご長寿を祈る素直な心に天恵がある」ことについて詠んでいると、注釈は説明しています。絵は、松に鶴亀を配した、長寿を寿ぐめでたい絵柄です。

(底本:『世中百首絵鈔』(1835年刊。三重県立図書館D.L.))